しかし、人事からは「導入の目的」「実施手順」がテキストで共有されただけで具体的な指示がないというのもよくある話です。 会社の方針として実施をしてみてはいるものの、毎回部下との会話も弾まず、「効果的な1on1が実施できていない」と不安を感じているマネージャーの方もいらっしゃるのではないでしょうか。 1on1を実施するうえで重視すべきポイントとしては「主役は部下」という考え方です。 1on1は冒頭でも話した通り部下の成長を促すためのミーティングで、部下が主体的になって話ができるように上司側は配慮する必要があります。 部下が主体的に話すためには、話の聞き方・相槌の打ち方・質問の仕方を見直して、部下との信頼関係を構築していく必要があります。 この記事では1on1の目的やフローをおさらいしたうえで、良い1on1とダメな1on1ではどのように違うのかまとめています。 また、実際に効果のある1on1を実施するために意識すべき12のポイントをまとめています。 この記事を読むことで本来の目的に合った1on1のポイントがおさえられ、「とりあえず1on1やったけど、効果あるのかな……」という不安を解消できるようになります。 【無料Ebook】1on1導入・定着を成功に導く チェックリスト10と改善のポイント ※本記事はチームアップ株式会社提供によるスポンサード・コンテンツです。

1on1の目的1on1の進行フロー良い1on1とダメな1on1の違い良い1on1の特徴ダメな1on1の特徴1on1の質を高めるために意識すべき12のポイント1on1の目的を言語化し社内・部下に浸透させる上司・部下間の信頼関係を構築する部下の心理的安全性を確保する短いスパンで定期的に実施するアクティブリスニングを心がける肯定的な反応を見せるオープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを使い分ける話は最後まで聞く沈黙に耐え、部下に「考える時間」を与えるティーチングを意識的におさえるトークのログを残す1on1に必要な技術を磨くまとめ【無料Ebook】見ながらできる 1on1実践ガイドブック(話すべきテーマから進め方まで)

1on1の目的

1on1は上司・部下間のコミュニケーションを通して以下を達成することを目的としています。

部下の生産性・自立性の向上上司・部下間の信頼関係の構築心理的安全性の確保働きがい・エンゲージメントの向上

1on1を通して部下の経験学習を促進し、部下の生産性・自立性の向上を目的として導入を決めるのが一般的です。 また上司・部下が1対1で定期的なコミュニケーションを図ることで、信頼関係を構築していき、部下の心理的安全性が確保されるようになります。 結果として業務へのモチベーションが高まり、エンゲージメントの向上にもつながります。

1on1の進行フロー

1on1は以下の流れで進めていきます。 まず必ずチーム全体に対し1on1とは何か、どういう目的かなどを周知します。 その上でメンバー個別に日程を調整したり、開催場所を決めたりしていきます。 実施までには必ずトークテーマとアジェンダを用意し、部下に伝えてください。この際、部下側にも話したい内容を整理してもらいましょう。 当日は実際に用意したトークテーマに沿って話を進めていきます。1on1の最後に次回の日程調整も行っておくとスムーズです。

良い1on1とダメな1on1の違い

良い1on1とダメな1on1の違いは「ミーティングの主役」を正しくとらえられているかで決まります。 良い1on1では「部下」を主役にして、部下の話を引き出すように会話します。 悪い1on1では「上司」が主役になり、自身の関心ごとを中心に会話を行っています。

良い1on1の特徴

良い1on1は「部下」を主役にし、部下の理解・育成・モチベーション向上などにつながることを意識して行います。 1on1自体が「部下のためにあるもの」と理解していることが前提です。 例えば、1on1の実施時に以下を実践できていると良いでしょう。

部下の話を聞くことを強く意識している部下の思考をサポートするための質問を実施している肯定的な声掛け・相槌を行っている

ダメな1on1の特徴

ダメな1on1は「上司(自分)」を主役に据え、部下のことを慮らずに行う1on1です。 以下のような1on1を実施している方は効果的な1on1を実施できていませんので、改善の必要があります。

業務の話がメインになっている自分の関心を満たす質問ばかりしている自分が主体的に話している部下の考え・意見に対し否定のスタンスで回答することが多い

1on1の質を高めるために意識すべき12のポイント

1on1の効果を最大化するためには実施時に意識すべき12のポイントがあります。 特に重要なのは「部下との信頼関係の構築」で、今回はそのために実践すべき方法を中心に解説しています。

1on1の目的を言語化し社内・部下に浸透させる

1on1の質を高めるための第一歩として、1on1を実施する目的を部下やチーム、社内に共有し、浸透させることです。 1on1の成果を数値として表すには相応の時間がかかります。目に見えるような効果を実感しづらいので、目的意識が浸透していないと部下も「1on1ってやる意味あるのかな」という懸念が先立ち、1on1を「やり過ごす」ようになってしまいます。 特に目標管理や報告を行うための場ではなく「部下の成長支援」が目的であることは必ず伝えましょう。

上司・部下間の信頼関係を構築する

部下が上司との1on1で忌憚なく話せるようになるには、信頼関係が基盤となります。一方信頼関係ができあがっていない、むしろ関係性が悪いという場合、部下は萎縮してしまい1on1が近づくだけで気が重くなります。 信頼関係は1on1だけではなく業務全般を通して作られていきますが、1on1実施時の部下への向き合い方・話の聞き方・相槌の打ち方が特に重要です。

部下の心理的安全性を確保する

信頼関係にも直結しますが、1on1では部下の心理的安全性を確保することが成功の鍵です。

本音で話したら上司からの当たりが強くなった1on1で話した内容がチーム内に共有されていて居心地が悪くなった

1on1後に以上のようなことが起これば、誰だって正直に話すことが怖くなります。 特に上司・部下という関係上、上司に対して正直にトークするのは勇気がいるものです。 「正直に話しても大丈夫」という意識を部下に与えるために、部下の言葉であからさまに機嫌悪くふるまったり、1on1の内容をむやみに共有したりしないようにしましょう。

短いスパンで定期的に実施する

1on1は実施の頻度が重要で、週に1回、隔週に1回の頻度で実施するのが望ましいです。最低でも月1回は実施するようにしましょう。 1回の時間は30分程度で良いので、実施の頻度を高めるようにしてください。 1年に1回、半年に1回という頻度では、単純に距離感を縮めるのに時間がかかります。短いスパンで定期的に開催することで、信頼関係を構築しやすくなります。 部下の育成・モチベーション向上などの効果を出すためには、短い期間で数多く実施するのが近道です。

アクティブリスニングを心がける

1on1を通して信頼関係を構築するための技術の一つとして「アクティブリスニング」というものがあります。 アクティブリスニングとは相手のトークに対してうなずいたり、相槌をうったり、相手の発したキーワードを繰り返したりすることをいいます。 相手の言葉に反応することで、部下は「しっかりと話を聞いてくれた」と感じられるようになります。

肯定的な反応を見せる

部下の意見・言葉に対し、意識して肯定的な反応を見せて信頼関係を構築していきましょう。 1on1では部下の生産性・自立性の向上や上司・部下間の信頼関係の構築、エンゲージメントの向上を目的としており、そのためには上司は部下に寄り添って会話を進める必要があります。 部下の言葉に「そんなことない」「間違っている」「考えすぎだ」など、取り合わないでいると、部下は心を閉ざしてしまい、信頼関係が崩壊してしまいます。 否定的な表現はできるだけ避けるのがベターです。 ただし、必ずしもその事柄に賛成すべきというわけではありません。 例えば「他の人と比べて自分だけ忙しい」という部下の言葉に対して、事実関係についての同意ではなく、「いつも頑張ってもらって助かっている」「無理ばかり言ってごめんね」といった反応が良いでしょう。 必ずしも同意すべきかではなく、部下の気持ちに寄り添って共感することが大切です。

オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを使い分ける

質問はYES/NOで答えられる「クローズドクエスチョン」と、相手が自由に返答できる「オープンクエスチョン」の2つがあります。1on1を実施する際はこれらをうまく使い分けられるように意識することが大切です。 特に上司自身が1on1に慣れていないうちはクローズドクエスチョンが多くなりがちですが、部下の考えを引き出して理解し、思考を深めるためのサポートを実践していくためにはオープンクエスチョンを活用する必要があります。 ただし、まだ信頼関係が十分に構築されていないと部下としても回答しづらいこともあるので、何度か実施してみて反応を見ながら使い分けましょう。

話は最後まで聞く

1on1で必ず避けるべきなのは、「部下の話をさえぎること」です。話は必ず最後まで聞くようにしましょう。 1on1は事実確認の場ではなく、「部下の育成」「モチベーションの向上」につなげるための場です。そのため、自分の関心事を優先して話の途中で質問をしてしまったり、急に自分の意見を押し付けたりするのは避けましょう。 部下が本当に話したいと思っていることに耳を傾け、自分の考えを洗練させていくための時間として1on1を実施するのが望ましいです。

沈黙に耐え、部下に「考える時間」を与える

1on1を実施している中で、部下の考えがまとまりきらず、すぐに返答が受けられないこともあります。しかし、この「沈黙」の時間は部下の「考える時間」としてとらえ、じっくりと時間をとってあげましょう。 1on1は部下の考えを深めていくためのツールという側面もあり、思考をまとめるというプロセスも重要です。 沈黙を埋めるために矢継ぎ早に話したり、自分の考えを部下にすぐに話したりしてしまうと、部下が思考を放棄してしまう可能性があります。その結果、上司の指示に依存するようになってしまうこともあるので、1on1の本来の目的からは遠ざかってしまいます。

ティーチングを意識的におさえる

コーチングとティーチングの違いを意識し、1on1の場ではティーチングを控えるようにしましょう。 コーチングとは部下の自主性を尊重したうえで、ネクストアクションを促すためのコミュニケーションです。部下の「気付き」を成長につなげるためのコミュニケーションで、提案や質問を行い、部下の思考をサポートしていきます。 一方ティーチングは指示・命令型のコミュニケーションです。ティーチングは「社内稟議の手続き」など、思考ではなく知識が求められている際に行うべき手法です。 もちろん質問内容によってはティーチングを選択すべきこともありますが、部下の思考を深めるためのコミュニケーションとしては不適当です。 特に部下の育成やモチベーションアップのための対話が1on1の要なので、ティーチングは意識的におさえるようにしましょう。 参考:コーチング・ティーチングの特徴・違いとは?

トークのログを残す

1on1の実施時には、トークのログを残しておきましょう。 ログを残しておくと次回以降の1on1実施時に振り返りを行いやすくなります。 以前の1on1で話した話題の変化を確認したり、決めた行動目標などの進捗確認ができるようになります。 また、人事や経営層に対しフォローを求めるべき内容などもログを残しておくと共有しやすいです。 例えば1on1で話題に上がった「キャリア」についての課題は、チーム内だけで対応が難しいこともあり、必要に応じて人事からフォローしてもらう必要があります。 人事が1on1の内容をキャッチアップし、すぐにアクションを起こせるようにするためにもログは徹底して残しましょう。

1on1に必要な技術を磨く

今回紹介したような話の聞き方・質問の仕方・コーチングスキルなどは、意識的に訓練しないと身につかない技術なので、自己研鑽に時間を充てることも大切です。 社内でマネジメントやコーチングの研修を行っているのであれば、積極的に参加するようにしましょう。また、1on1がうまいと言われている別部署のマネージャーに話を聞いたり、壁打ちをお願いしてみるのもオススメです。

まとめ

1on1は部下の生産性・自立性の向上、部下の心理的安全性の確保、エンゲージメントの向上などを目的としたマネジメント手法です。 1on1における主役はあくまで「部下」で、良い1on1は部下が気兼ねなく自分の意見や考えが言えるように配慮しています。逆に自分(上司)が知りたいことばかり質問したり、部下の言葉に対し否定的な言葉や相槌を打ったりするのは避けるべきダメな1on1です。 1on1のポイントとして「信頼関係の構築」が特に重要です。「アクティブリスニング」や「肯定的な相槌」を通して、部下が話しやすいような環境を作りましょう。 また、部下の言葉をさえぎらずに最後まで話を聞いたり、部下が自身の思考を整理しやすくなるような質問を行うと良いでしょう。 1on1は実施するごとにログを残しておくと、振り返りがしやすくなりますし、必要に応じて人事などにフォローをお願いする際にも役立ちます。

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