とくに「社員から自社に対する不満の声を聞くようになった」「離職率が増えている」などの現状を解決したい会社にとって有益な施策と言えます。 本記事では、従業員エンゲージメントの意味と、向上することで得られるメリットについて解説します。 また、向上させるための具体的な方法や実際に従業員エンゲージメントを上げるよう努めた企業の事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 社員が安心して働ける環境を整える福利厚生サービス

従業員エンゲージメントとは

従業員エンゲージメントとは、会社に対して自主的に貢献しようとする従業員の意欲のことです。そもそも「エンゲージメント」には、約束、契約、雇用の意味があるため、その意欲には従業員と会社のつながりの強さが反映されます。

従業員エンゲージメントとは従業員エンゲージメントの向上で得られる3つのメリットメリット1.離職率が下がるメリット2.顧客満足度が上がるメリット3.売上アップに繋がる従業員エンゲージメントを導入した成功事例小松製作所の事例スターバックスの事例従業員エンゲージメントの調査方法社員にアンケートを取る(eNPS調査)ツール上でのコミュニケーションデータを分析する従業員エンゲージメントを構成する3要素1.働きやすさを高める要素2.やりがいを生み出す要素3.ビジョンに共感する要素従業員エンゲージメントを上げる方法方法1.ワークライフバランスを推進する方法2.適材適所の人材配置を行う方法3.正当な人事評価を行う方法4.コミュニケーションを積極的にとりあう方法5.部下へ権限を委譲する方法6.部下を育成する方法7.インセンティブを用意するまとめ

そして、従業員エンゲージメントは従業員と会社のビジョンの一致によって生まれます。つまり「相手の成功が自分の成功」「相手の幸せが自分の幸せ」というような関係性が、企業運営上で成立しているということです。

従業員満足度との違い

従業員満足度と従業員エンゲージメントとの違いは、「貢献度」です。従業員満足度とは、給与や賞与、福利厚生、休暇制度、職場環境など、会社から与えられるものに対する充足感の度合いを指します。 満足度が高いのは好ましいことですが、それに比例して会社への貢献度が上がるわけではありません。一方で従業員エンゲージメントには、必ず貢献度が内包されています。会社が与えたことに見合うだけの「献身」があるという点が、従業員満足度との大きな違いです。

従業員エンゲージメントの向上で得られる3つのメリット

従業員エンゲージメントが向上すると、いくつものメリットが発生します。ここでは3つのメリットについて、具体的に解説します。

メリット1.離職率が下がる

「エンゲージメントの高い従業員は、エンゲージメントの低い従業員と比較すると離職率が87%も低い」というデータがあります。これはアメリカのコンサルタント企業CEB社のレポートです。また、これを裏付けるような厚生労働省の調査結果(平成26年)もあります。「仕事を辞めたい」と考えている人の割合が、「働きがいがある」と答えた人の中では1.6%だったのに対し、「働きがいがない」と答えた人の中では36.5%と約20倍も高かったというものです。 離職率が下がれば、会社全体で業務が安定的に進みますし、新しく従業員を迎えても育成がスムーズに行くなどの好循環が生まれます。 引用:従業員エンゲージメントとは|組織にもたらす好事例を紹介 参考:働きやすい・働きがいのある 職場づくりに関する調査 報告書|厚生労働省

メリット2.顧客満足度が上がる

例として、アメリカの大手食品製造会社MMS社では、幹部クラスへの充実したコーチングや企業文化の理解を深めたことなどにより、従業員エンゲージメントを30%上昇させました。その結果、顧客満足度も16%上昇したということです。 従業員エンゲージメントを高めたことで顧客満足度の向上を果たした企業は、他にもたくさんあります。顧客満足度が上がれば、リピートによる売上や新規客紹介など業績に直結する変化を起こせます。 参考:参考にしたい!従業員エンゲージメントが高い企業の成功事例とは

メリット3.売上アップに繋がる

他にも、コンサルティングなどを手掛けるエーオンヒューイット社の調査では「従業員エンゲージメントの1%上昇は0.6%の売上アップにつながる」ということが判明しました。また、アメリカのキャタピラー社では従業員エンゲージメントが8%上昇したことにともない、売上が300%も伸びたという報告があります。 当然、業種や企業規模によってパーセンテージに差は生じます。しかしながら従業員エンゲージメントと売上には確かな関係性があります。従業員エンゲージメントには、会社の利益に貢献するための実務的な指針が含まれているからです。 参考:従業員エンゲージメントとは|組織にもたらす好事例を紹介

従業員エンゲージメントを導入した成功事例

従業員エンゲージメントを向上させるために取り組み、それにより成果を上げている企業はたくさんあります。ここでは2つの事例を紹介します。

小松製作所の事例

従業員エンゲージメントを33%から70%に増加させたことで知られています。具体的に実践したのは以下の3つのステップです。

1. エンゲージメントの計測と分析

「人々の関与を高める」「実践的なプロセスで新しいスキルを学び実践する」「人を介して価値を高める」これら3つの目標を達成するため、TVS(Team Vital Signs)という測定方法でエンゲージメントが測られました。計測のポイントは「信頼」「モチベーション」「変化」「チームワーク」「実行 」の5つです。

2. 能力開発のためのプロジェクトの実行

能力やスキル、リーダーシップを高めるため3つのチームを編成し、チームごとのテーマを決めてプロジェクトを実行しました。

3. フィードバックの再測定

それぞれのチームプロジェクトのフィードバックを集め、TVSによるエンゲージメント測定を再度行いました。その結果、従業員エンゲージメントが33%から70%へ増加しました。 参考:コマツでの従業員参画の拡大

スターバックスの事例

社員に愛される企業として注目されているこの企業には「Our Mission and Values」という独自の理念があります。そこには、「1杯のコーヒーを重んじる想い」「1杯のコーヒーを淹れる誇り」「1杯のコーヒーでつながる喜び」が溢れています。この「Our Mission and Values」を形にするために、従業員は以下の3つを意識しています。

自分を認める。他者を信じる。誰かの役に立とうとする。

スターバックスでは理念や哲学を掲げるだけでなく、いかにしてそれらを現場で実践するか、にこだわっています。具体的には、課題や問題に対して「なぜそうなったか」「どうすればより良かったのか」を掘り下げ、フィードバックをし合います。さらにエリアごとに責任者が集まり、各店舗の状況を共有したり意見を出し合ったりなどします。 メディアのインタビューなどでストアマネジャーの意識の高さが取り上げられることも多くあります。このような側面からも、スターバックスの従業員エンゲージメントの高さが伺えます。 参考:シンプルな理念が、万人の働きやすさを生み出す ― スターバックス コーヒー ジャパンが追求する「Our Mission and Values」

従業員エンゲージメントの調査方法

従業員エンゲージメントを高めるための施策を打つ前に、まずは自社の現状を知ることが重要です。そのための調査方法には、自社で行なうものと外部機関に委託するものとがあります。最近では心拍数や表情から会社への忠誠心・労働意欲を分析する方法などもありますが、認知度はさほど高くありません。

社員にアンケートを取る(eNPS調査)

最も一般的なのは、社員に向けて定期的にアンケート調査を行う方法です。特に「eNPS調査」が多く用いられています。 eNPS調査はシンプルな方法です。従業員に「あなたは家族や友人に〇〇社で働くことをどの程度勧めたいと思いますか?」と質問するだけです。

<回答方法>

「すすめたい」と思うレベルを0〜10点で評価してもらう。

<調査方法>

0~6点で評価した人を「批判者」とする。7・8点で評価したた人を「中立者」とする。9・10点で評価した人を「推奨者」とする。

<調査結果>

全体で「推奨者」の割合から「批判者」の割合を引く。例えば「推奨者」が60%で「批判者」が30%の場合…60%-30%=eNPS30%となる。

※推奨者が増えるほど、もしくは批判者が減るほど数値は高くなります。 ※eNPSが高いほど従業員エンゲージメントも高いことが伺えます。

ツール上でのコミュニケーションデータを分析する

社内コミュニケーションに使うツール上で、やり取りされたコミュニケーションのデータを分析することで、従業員エンゲージメントを調査する、という方法もあります。 例えば、社内SNSとして利用されている「Talknote」を導入すると、ツール上で「誰が」「誰と」「どれくらい」メッセージの送受信をしているのか定量的に把握したり、アクセス時間や投稿量など個々の仕事のリズムをとらえます。 このように、社員間のコミュニケーション分析をすることで、従業員エンゲージメントを調査する方法もあります。 参考:エンゲージメントクラウド | Talknote

従業員エンゲージメントを構成する3要素

従業員エンゲージメントを高めるためには、それに必要な具体的要素を把握することが大切です。それは大きく分けて働きやすさ・やりがい・ビジョンへの共感の3要素について分けられます。以下では、これらの要素について解説します。

1.働きやすさを高める要素

働きやすさは従業員の精神面の安定につながります。例えば、上司とのコミュニケーションの質はそれに大きく影響します。求められるのは、単なる業務上のやり取りや上司から部下への一方通行な会話ではなく、一個人として関わってもらえている、尊重されていると従業員が感じられるような接し方です。 また、従業員が受け入れやすい組織風土、従業員の能力や個性が発揮されやすい組織文化、バランスの取れた業務量なども働きやすさに関係します。

2.やりがいを生み出す要素

従業員にとって、努力や貢献が明確な結果で出ると大きなやりがいになります。自信がつき、自己肯定感が高まり、会社における自分の存在価値を見出せるからです。 結果には2種類あり、売上や集客など具体的な数字でわかるものと、周囲からの反応や評価のような心理面に効果を与えるものがあります。この両方を実感できると、従業員の意欲はますます向上します。

3.ビジョンに共感する要素

ビジョンの一致は従業員エンゲージメントの本質的な要素です。つまり従業員の掲げる将来目標や人生設計が会社の将来像に重なるからこそ、目の前の仕事や事業計画に情熱を注げるのです。 このような関係性を築けるのは、会社や上層部が日頃から従業員に向けてビジョンを伝え、それに従業員の方もコミットしているからだと言えます。

従業員エンゲージメントを上げる方法

従業員エンゲージメントを上げるためには、エンゲージメントの構成要素を踏まえて戦略的に実践する必要があります。ここでは具体的な7つの方法を紹介します。

方法1.ワークライフバランスを推進する

従業員に質の高い仕事を求めるなら、従業員の質の高い生活も約束する必要があります。十分な休みを取り、プライベートが充実すると従業員の心身が満たされるからです。仕事も生活も日々の営みです。今日だけ、今週だけという限定的なテーマではないため、バランスの取れたルーティンでこそ働きやすさにもつながります。 社員のメンタルヘルス対策を一括お任せ!「リモート産業保健」とは

方法2.適材適所の人材配置を行う

従業員の能力や人間性に見合った配置は意欲の向上を生み、生産性アップにも影響します。これはやりがいを感じられるかにも関係します。適切な立場や役割を与えられれば、従業員は「理解されている」「評価されている」と感じるからです。 参考:「適材適所」な人材配置のやり方とは?具体的に何をやればいいの?

方法3.正当な人事評価を行う

従業員と会社の双方向で認め合うことが従業員エンゲージメントの基礎です。正当な人事評価というのは、双方が互いの必要性や価値を確認し合える基準になり得るのです。従業員にとっては自分のビジョン達成に向けた指標でもあるため、エンゲージメント向上のポイントであるとも言えます。 参考:最近話題の「従業員エンゲージメント」とは?概要と取組みのコツ!

方法4.コミュニケーションを積極的にとりあう

従業員とコミュニケーションをとるためには、社員同士が意見を自由に語り合える環境をつくることが大切です。日頃から社内やチーム内のコミュニケーションを活性化させ、ビジョンなどを統一させる雰囲気や場を設けましょう。聞く側の「相手や相手の話に興味を持つ」という姿勢づくりも重要です。 参考:最近話題の「従業員エンゲージメント」とは?概要と取組みのコツ!

方法5.部下へ権限を委譲する

歴史上の人物の有名な言葉に「人を育てるには手本を示し、理解をさせ、あとは本人にやらせることだ」という一文があります。部下への権限移譲は、まさにこの「やらせる」ことです。「任された」と感じた従業員には、それまで以上に責任感や使命感が高まるため、エンゲージメントを向上させるための有効な手法と言えます。 参考:上司と部下との関係性が従業員エンゲージメントの基盤になる

方法6.部下を育成する

新入社員や新しく配属された部下の育成には、担当者を決めてコーチングやトレーニングを行うことが大切です。業務だけをマニュアル的に教えるのではなく、問題意識をもたせて自発的に取り組んだり解決したりできるようにすることが大切です。また、育成に関わることで担当した従業員自身も学び、成長することでしょう。 参考:部下を育てる鍵はコミュニケーション「部下育成の重要ポイント5つ」

方法7.インセンティブを用意する

外部から刺激を与えて従業員の意欲を高める方法に「リワードプログラム」というものがあります。リワードには「報酬」という意味がありますが、ボーナスや報奨金などの金銭的報酬もあれば、昇格や休暇などの非金銭的報酬もあります。他にはスキルアップへの支援制度なども含まれます。 参考:インセンティブ制度|社員のモチベーションが上がる3つの理由と好事例

まとめ

従業員エンゲージメントは従業員と会社の「相思相愛」によって成り立ちます。 そして、それをさらに高めるのは双方向の「与え合い」です。 多くの従業員とこのような関係性をもつことで、会社全体でのエンゲージメントレベルも上げることができます。そうなれば大きな利益を生みますし、新しく加わる従業員も育ちやすくなるでしょう。 月3万円~130万円以上の生産性低下防止効果を見込める福利厚生サービス

参考にしたサイト

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