契約書は適切な送付方法があり、「郵便法」という法律で定められています。 もしも、ルールを知らずに契約書を送付してしまうと、相手先と円滑に契約締結を進められないだけでなく、場合によっては法律違反による罰則やペナルティが課せられる可能性もあります。 この記事では、適切な契約書の送付手段についてまとめています。 本記事を読みすすめながら契約書の準備をすることによって、ミスなく正確に相手先へ契約書を送付できるようになります。

宅配やメール便はNG!契約書は「郵送」する

契約書の適切な送付方法については、郵便法という法律で定められています。正しく送付しなければ、罰金を科されるリスクもあります。ここでは、契約書の正しい送り方ややってはいけない送付方法、罰則の詳細を紹介します。

宅配やメール便はNG!契約書は「郵送」する契約書の適切な送り方契約書の不適切な送付例契約書を「郵送」しなかった場合の罰則やペナルティ契約書の郵便における基本ルールとマナー契約書の宛名や氏名、連絡先は正確に明記契約書や送付状などの書類は折らずに封入送付状はマナーとして同封する「金銭のやり取り」が発生する場合、金銭を受け取る側が先に押印する契約書への割印は必要返信用封筒を同封する契約書の郵送前にチェックすべき項目電子契約なら郵送の必要がないまとめ

参考:郵便法 | e-Gov法令検索

契約書の適切な送り方

契約書は、郵便法および信書便法で定められている「信書」として扱われ、送り方を間違ってしまった場合、罰則があります。そのため、必ず定められた方法で送付しなければなりません。契約書の適切な送り方は、以下の通りです。

レターパック簡易書留一般書留信書便事業者のサービス

日本郵便株式会社、あるいは国から許可を得ている会社の信書郵送サービスを利用しなければなりません。簡易書留や一般書留、レターパックは、追跡番号から郵送物の所在をチェックできるため、契約書のような重要書類を送るために最適な方法です。 簡易書留のメリットは、配達状況の確認以外にも、損害賠償保証があることです。一般書留では、郵便局から「配達証明書」が差出人宛に届きます。 またレターパックには、レターパックライト(青色)とレターパックプラス(赤色)の2つの種類があり、レターパックプラスであれば郵便受けに投函されるため、相手方に手間をかけません。 信書便事業者とは、信書便法(特定信書便)によって信書の配達業務を認められている業者のことです。合計90cmの縦・横・高さを超える信書を、3時間以内に集配しなければならない決まりがあり、さまざまな民間業者が参入しています。佐川急便の「飛脚特定信書便」は、代表的なサービスとして知られています。

契約書の不適切な送付例

契約書の送付にうっかり利用してしまいがちなサービスは、たくさんあります。契約書の不適切な送り方は、以下の通りです。

宅急便メール便普通郵便ゆうパックゆうメールゆうパケットクリックポスト

宅急便やメール便のみならず、郵便局によるサービスの「ゆうパック」「ゆうメール」「ゆうパケット」「クリックポスト」であっても、信書の送付はNGです。これらを利用すると、違法となる可能性があるため、選ばないように事前に確認しておきましょう。

契約書を「郵送」しなかった場合の罰則やペナルティ

正しく契約書を送付しなかった場合、以下のような郵便法違反による罰則があります。 郵便法違反は、3年以下の懲役、あるいは300万円以下の罰金が科されます。また、配送事業者だけではなく、配送依頼者も罰せられる可能性があるため、正しい送り方が求められています。こうした違法行為は、信用を失うリスクや契約締結が不可能になるリスクなどもあるため、十分注意しておきましょう。 第三条 郵便法第四条第二項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。 一 一般信書便事業者が信書便物の送達を行う場合 二 特定信書便事業者が特定信書便役務に係る信書便物の送達を行う場合 三 一般信書便事業者又は特定信書便事業者から信書便の業務の一部の委託を受けた者が当該委託に係る信書便物の送達を行う場合 四 一般信書便事業者又は特定信書便事業者と信書の送達の事業に関する協定又は契約を締結した外国信書便事業者(外国の法令に準拠して外国において信書の送達の事業を行う者をいう。以下同じ。)が当該協定又は契約に基づき信書便物の送達を行う場合 引用:信書の送達についてのお願い」(総務省) また信書は、契約書だけではなく、以下のような書類も該当します。

納品書領収書見積書申込書依頼書印鑑証明書納税証明書戸籍謄本住民票の写し

領収書などを荷物と一緒に送ってしまうことも違法ですので、ご注意ください。

契約書の郵便における基本ルールとマナー

契約書は、ビジネスおいて非常に重要な文書として扱われています。そして、個人あるいは会社の信用に直結するものです。だからこそ、法律を遵守するだけではなく、気持ちよくスムーズに契約締結を行うためのマナーを覚えておきましょう。ここでは、契約書の郵便における基本ルールとマナーについて詳しく解説します。

契約書の宛名や氏名、連絡先は正確に明記

契約書に記入する宛名や氏名、連絡先は正確に明記するよう慎重を期しましょう。 記載の間違いは契約相手から信頼を失うことにつながります。例えば、住所の間違いにより誤った場所へ送付してしまうことで、機密情報の漏洩を引き起こしかねません。 そのため、誤字脱字がないよう、慎重に時間をかけて記入しましょう。ネットで検索し調べることで、最新の情報も把握できるため、記入前に氏名や連絡先などを確認しておくことをおすすめします。 当然のマナーとして、宛名が社名であれば「御中」、担当者宛に送付するのならば「様」を利用します。部署名を把握している場合、部署名も省略することは避けてください。また、株式会社を「(株)」のように省略することなく、マンション名やビル名も省かずに、必ず正式名称を記しましょう。

契約書や送付状などの書類は折らずに封入

契約書を封筒に入れる際は、手紙などとは異なり、折らないことが基本です。 返送後の保管する際にスキャンを行う場合があるためです。折り目やシワなどがあることでスキャンで正確に読み込めない可能性があります。また、クリアファイルの中に契約書を入れることもおすすめです。クリアファイルがあれば、契約書は破れず、雨・雪対策としても有効です。契約書のみならず、同封する送付状なども折らないようにしましょう。 おすすめの封筒の種類は、角形封筒です。角形封筒は正方形に近い形をしており、書類を折らずに入れられます。細長いタイプの長形封筒の場合、サイズが小さいからこそ郵送費を抑えられるメリットがあるものの、書類を折り曲げてしまうため、契約書の送付には向いていません。 参考:【クラウドスタンプ公式】意外と面倒? 契約書を郵送する際に押さえておくべきマナー・ルール

送付状はマナーとして同封する

契約書と送付状をセットで送ることも、一般的なマナーです。送付状は、何を目的とする書類なのか、何の書類を送付したのか、ひと目でわかるものです。具体的には、次のような内容を記載します。

送付年月日送付先の企業名送付先の担当者氏名書類の名称枚数・部数挨拶文返答期日送付元の企業名送付元の氏名

送付状をセットで送らなかった場合、契約期限に返送されないなどのトラブルが発生する可能性もあります。

「金銭のやり取り」が発生する場合、金銭を受け取る側が先に押印する

契約書を送付する前に、押印するケースは決まっています。それは、金銭のやり取りがある契約の場合です。金銭の支払いが発生する契約は、金銭を支払う側のリスクを回避するために、金銭を受け取る側が先に押印することが一般的です。 金銭のやり取りがないのであれば、契約書を作成した側が送付前に押印してもかまいません。 参考:契約書の押印はどちらが先にしたらいいですか | 坂本倫朗行政書士事務所 東京板橋

契約書への割印は必要

契約書への割印は、法律で定められているものではないものの、基本ルールとして知られています。 割印は、契約書を自社と相手方の2部作成した際、それらが同一の書類であると証明できるだけではなく、複製を防げたり、訴訟時に役立ったりします。 契約書における押印ルールに関しては以下記事でまとめてあります。 参考:【契約書の押印ガイド】印鑑の種類・押し方など基本ルールを解説

返信用封筒を同封する

契約書と送付状以外にも、返信封筒を同封することは基本ルールです。返送用封筒には切手を貼るだけではなく、会社名と自分の氏名を記載することで、相手方の手間を省けます。 封筒は、重要な書類である契約書だからこそ、中見が透けて見えないように、厚手タイプを選択しましょう。

契約書の郵送前にチェックすべき項目

契約書を作成し、郵送する前には、以下の項目をチェックしておきましょう。

自社記入分の空欄がない契約期間や契約開始日などの日付が正確に明記されている印紙は適切に貼り付けられている製本を行い割印を押した相手方用の2部を作成し上記を満たしている送付状を同梱した適法な郵送方法を選べている

印紙は、契約書の内容や金額によって異なります。郵便局だけではなく、コンビニなどでも取り扱っており、手軽に入手できるでしょう。また印紙代は、双方の会社で負担することが一般的ですが、割合については定められていません。基本的には、自社契約書分をそれぞれの会社で負担します。 契約書のページ数が多い場合は、製本の段階で、袋とじにしましょう。袋とじは、各ページを帯で糊付けし、差し替えられないようにするものです。また、契約書を有効化する「契印」の手間がかからないメリットもあります。袋とじしていない場合、一枚一枚に押印しなければなりません。 万が一、封筒に誤字脱字をしていることに気づいた場合、朱書きで対応できますが、宛名を朱書きすることは、縁起が悪いこととなっているため、避けてください。郵送後のミスは、相手方に迷惑をかけてしまうため、必ず郵送前に上記チェックリストを確認しましょう。 参考:【2021年版】収入印紙を必要とする契約書と、それぞれの税額一覧まとめ

電子契約なら郵送の必要がない

郵送以外の方法として「電子契約」という方法もあります。電子契約とは、紙の書面ではなく電子ファイルの契約書を用いる種類であり、昨今、導入している会社も増加傾向にあります。 電子契約は、PDFやWordなどの電子ファイルで契約書を作成し、電子署名するため、紙の書面のように郵送することなく契約を締結でき、業務を効率化できます。また、印紙も不要であり、コスト削減にもつながります。紙のようにかさばらず、管理しやすいこともメリットです。 たとえば14万社以上が導入する電子契約サービス「クラウドサイン」などが代表的でしょう。弁護士監修のもと大手金融・IT企業も導入する電子契約サービスです。 国内最大級の電子契約サービス「クラウドサイン」サービス概要 契約する相手が応じてくれない可能性はあるものの、法律的にも、電子契約と書面の契約の有効性は同一のため、自社の業務効率化やコスト削減を目指している場合は、電子契約がおすすめです。 参考:電子契約とは?メリットデメリット・法律・やり方まで詳しく解説

まとめ

契約書は、郵便法および信書便法で定められている「信書」として扱われ、送り方を間違ってしまった場合、罰則があります。契約書のOKな送り方は、レターパックや簡易書留、一般書留、信書便事業者のサービスです。 契約書のNGな送り方は、宅急便やメール便だけではなく、郵便局によるサービスの「ゆうパック」「ゆうメール」「ゆうパケット」「クリックポスト」なども該当します。正しく契約書を送付しなかった場合、3年以下の懲役、あるいは300万円以下の罰金が科される可能性があります。 契約書の郵便における基本ルールとマナーは、書類を折らずに封筒に入れることです。送付状や返信用封筒も同封することも忘れてはいけません。もちろん、氏名や社名、日付などを間違いずに明記することも基本ルールです。 PDFやWordなどの電子ファイルで契約書を作成する電子契約ならば、郵送の必要がなく、書面の契約書では必要になっている印紙がなくても問題ありません。手間がかからないだけではなく、業務効率化やコスト削減にもつながります。

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