有給休暇管理表の活用は、社内の有給取得状況を細かく把握するだけでなく、労務管理における工数削減、労働基準法の遵守にもなるため、企業にとって重要な役割を担います。 しかし、 「有給休暇管理表がどのようなものなのか知りたい」 「有給休暇管理表の管理方法について知りたい」 「社員の有給休暇を漏れなく管理できるようにしたい」 上記のように有給休暇の管理に関して悩まれている人事担当者の方も多いのではないでしょうか。 有給休暇はエクセルや勤怠管理システムで管理することができ、それぞれの活用の仕方は決まっているため、それさえ把握しておけば漏れなくスムーズに運用をすることができます。 本記事では、有給休暇管理表を導入する上で、有給休暇管理表の基礎知識や運用方法、また運用時の注意点について詳しく解説いたします。 こちらの記事を読めば、有給休暇管理表について理解し、適切な運用方法を理解できるようになります。 有休管理をもっとラクにするために、無料ではじめられる勤怠管理システム>>

エクセルテンプレートの有給休暇管理表

今回は、無料ダウンロードできる厚生労働省提供の「年次有給休暇取得管理台帳テンプレート」を活用して、有給休暇管理表の運用方法を説明していきます。

エクセルテンプレートの有給休暇管理表基準日の設定有給取得時季漏れなく有給管理するための3つの運用方法全従業員の基準日を統一する労働者名簿や賃金台帳を一緒に作成・運用・保存する勤怠管理システムを利用する有給休暇管理表を扱う際の3つの注意点3年間の保存義務がある時間単位で取得した場合の休暇は年次有給休暇に含まれない労働基準法に違反した際には罰則があるまとめ

有給休暇管理表を一から作成する手間が省けるため、厚生労働省が提供するテンプレートをぜひご活用ください。 まずは、労働基準法により義務化された「年次有給休暇」と「年次有給休暇管理簿の作成・保存」について簡単におさらいしましょう。 2019年4月の労働基準法改正により、年次有給休暇の権利を年に10日以上与えられている労働者は、年5回を超える年次有給休暇を取得する義務があります。 年次有給休暇の取得状況については、誰でも確認・把握できるように、年次有給休暇管理簿の作成・保存が義務化され、以下3つの項目が記載必須となっています。

労働基準法の改正により義務化された内容をおさらいできたところで、上記の項目をもとに有給休暇管理表の運用方法を説明していきます。

基準日の設定

有給休暇管理表の運用において、まずやるべきことは、基準日の設定です。 基準日とは、労働者が10日を超える年次有給休暇を取得する権利を与えられた日付のことでした。 労働基準法により、基準日から1年以内に年次有給休暇を5日以上取得しなければいけません。 基準日を設定しなければ、そもそも1年という期間を計算できないためです。 年次有給休暇の付与は、企業により異なるため注意しましょう。 例えば、4月1日に入社、その6ヶ月後に10日を超える年次有給休暇が与えられた場合、基準日は10月1日です。 4月1日の入社時に5日の年次有給休暇が付与され、その6ヶ月後に5日の年次有給休暇が付与された場合、基準日は10月1日です。 企業ごとで年次有給休暇の付与タイミングは異なりますが、いずれも10日を超える年次有給休暇を与えられた日が基準日となります。 有給取得状況を判断するうえで基準日は重要な1つの指標ですので、有給休暇管理表を運用する際には最初に記入しましょう。 記入する箇所は、下図の赤枠を参考にしてください。

有給取得

社員が年次有給休暇を取得している場合には、有給取得日数を記入する必要があります。 実績を入力すると、自動で取得日数合計がカウントされます。記入する箇所は、下図の赤枠を参考にしてください。 取得日数合計のカウントだけでなく、年次有給休暇の残日数や1年以内に取得しなければいけない年次有給休暇の5日もカウントされます。 そのため、年次有給休暇の取得状況を瞬時に確認できます。

時季

社員が、実際に年次有給休暇を取得した場合に、取得した日時を記録する必要があります。 時季(労働者が実際に年次有給休暇を取得した日付)は、労働者がきちんと休んだことの記録となるため、後から見返した際に休んだ日付が分かれば問題ありません。 たとえば4月20日が有給取得日の場合、赤枠内に日付を入力します。 もし連続で年次有給休暇を取得したい場合には、4月20日から4月25日などと記載します。

漏れなく有給管理するための3つの運用方法

厚生労働省が提供するエクセルテンプレートを用いて、有給休暇管理表を活用することで、労働者ごとの有給休暇取得状況を把握しながら、年次有給休暇管理簿の作成もできます。 しかし、エクセルは手入力が多く、入力漏れや入力ミスなどのヒューマンエラーが発生する恐れがあります。 そこで、なるべく入力漏れや入力ミスを減らすための運用ポイントを説明します。

全従業員の基準日を統一する

基準日は、社員一人ひとりで別日設定をせず、企業で統一した日付にするのがおすすめです。 年次有給休暇の取得状況は、基準日から1年以内にどれだけ年次有給休暇を取得しているかを確認する必要があります。 これは労働基準法で基準日より1年以内に5日以上の年次有給休暇取得が義務付けられているからです。 そのため有給休暇管理表も、基準日以降で年次有給休暇を取得する際に作成されます。 基準日が労働者ごとに別日で設定されていると、管理が大変で、漏れやミスの原因となるでしょう。 例えば、基準日の設定を統一で4月1日と決めることで、有給休暇管理表を一括作成できたり、年次有給休暇の取得状況の確認もしやすくなったりします。 しかし、4月1日が基準日とした場合、5月入社した人の有給付与が11ヶ月後になってしまうなど、入社タイミングによって不公平な付与条件になる場合があります。 休暇付与の公平性を保つためには、入社月に応じて付与日数の調整を行うなど、状況に応じて柔軟にルール整備をしなければいけません。 参考:事業主の方へ | 年次有給休暇取得促進特設サイト | 働き方・休み方改善ポータルサイト

労働者名簿や賃金台帳を一緒に作成・運用・保存する

有給休暇管理表と法定帳簿を一緒に作成・運用・保存できれば、労働者ごとにデータをまとめられるため、データの確認漏れ防止、労務工数削減になります。 法定帳簿も年次有給休暇管理簿と同様に、原則3年の保存義務があるため、一緒に作成、運用、保存しておくことがおすすめです。

勤怠管理システムを利用する

勤怠管理システムの利用で、有給管理の工数削減になるだけでなく、ヒューマンエラーの防止になります。 その理由は、勤怠管理システムであれば、エクセルで手入力していた作業をシステムで行えるためです。 例えば、社員の出退勤時間を打刻より自動で入力したり、パソコンで休暇申請をし、システム上で処理を完了させたりです。 勤怠管理システムは、SaaSで提供されることが多く、オンライン上でデータ管理が完結するため、データ確認などの管理工数、自動アップロードによる人的ミス防止になります。

有給休暇管理表を扱う際の3つの注意点

有給休暇管理表を扱う際には、注意すべきことが3つあります。 法に関連する内容でもあり、企業にとっては大きな損失につながる恐れもあるかもしれません。

3年間の保存義務がある

年次有給休暇管理簿は、3年間の保存義務があります。 労働基準監督署に求められた際には、すぐに提示をしなければなりません。 年次有給休暇管理簿の作成においては様式指定はありませんが、「基準日」「日数」「時季」の3項目は記載必須です。 有給休暇管理表を作成、運用する際には、年次有給休暇管理簿としても活用できるため、「基準日」「日数」「時季」の3項目を記載し、3年間は保存しておきましょう。 参考:有給休暇の計画的付与、時間単位年休及び年5日の時季指定に対応した有給休暇の管理台帳を作成しました | 福井労働局

時間単位で取得した場合の休暇は年次有給休暇に含まれない

企業によっては、「全休」だけでなく「半休」や「時間単位」の年次有給休暇取得を認めている場合があります。 しかし、労働基準法で義務化されている「取得させるべき5日」の年次有給休暇に「半休」や「時間単位」の年次有給休暇取得は含むことができません。 年10日を超える年次有給休暇が与えられている労働者は、「全休」で年5回を超える年次有給休暇を取得しなければならないので注意すべきです。

労働基準法に違反した際には罰則がある

2019年4月の労働基準法改正に伴い、有給休暇に対して以下の内容に違反した場合、罰則が与えられます。 ※)罰則による違反は、対象となる労働者1人につき1罪として取り扱われますが、労働基準監督署の監督指導においては、原則としてその是正に向けて丁寧に指導し、改善を図っていただくこととしています。 参考:年次有給休暇管理簿とは? 作成・保存義務における注意点を解説|顧問弁護士・企業法務ならベリーベスト法律事務 罰則は、労働者1人に対してのため、もし仮に違反した労働者が100人いた場合、3,000万円の罰金が科される可能性もあります。 企業にとって大きな損失になるため注意しましょう。

まとめ

有給休暇管理表を活用すれば、社員一人ひとりの「有給取得日」「有給取得日数合計」「有給残日数」を管理できます。 さらに、有給休暇管理表は、労働基準法で作成・保存が義務化されている「年次有給休暇管理簿」の作成になります。 有給休暇管理表の運用方法は以下の通りです。

ステップ1:基準日を設定するステップ2:有給を取得するステップ3:時季を記入する

漏れなく有給管理するための運用ポイントは以下の通りです。

全従業員の基準日を統一する労働者名簿や賃金台帳を一緒に作成・運用・保存する勤怠管理システムを利用する

有給休暇管理表を扱う際には以下の点に注意点ください。

3年間の保存義務がある時間単位で取得した場合の休暇は年次有給休暇に含まれない違反した際の罰則がある

有給休暇管理表の基礎知識を身につけて、運用ポイント、注意事項を意識しながら活用することで、社員の有給取得状況を把握できるだけでなく、労務管理における負担を減らすことができるでしょう。 ※本記事は株式会社マネーフォワード提供によるスポンサード・コンテンツです。

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